綺麗な方は、普通の方が「うんうん」と話を聞いているのを
いいことに、次から次へと自分の思いを語っている。
相手が同調してくれると、安心して話続ける。
シングル相手に、離婚しようかどうしようか、真剣に相談というわけではない。
とにかく、聞いてくれる相手が必要だったのだ。
それが、同調や同情を示してくれるなら、なおさら有り難い。
決して、「結婚できただけ、いいじゃない!」
なんて、言われたくない。
こういう時、既婚者に話すのか、シングルに話すのか、考えものだな、と
ヤス子は思った。
シングルに話して、「結婚できただけ、いいじゃない!」と言われる可能性はある。
でも、幸せな既婚者に話すのは気がひける。
相手の夫婦円満な自慢話を聞くはめになりかねないから。
相談する相手も、しっかり選ばなきゃダメだな、と思う。
そして、気づく。
自分は、他人に向かって何かを話すとき、ある程度、相手の反応を自分の中で予想して、
自分にマイナスにならない相手を無意識的に選び、話かけているのではないかと。
話す話題も人によって、話し分けているのではないかと。
そして、予想通りの反応が返ってきたら嬉しくて、予想外だったらガッカリする。
相手には何の非もないのに、「な〜んだ・・・」的な感情を抱いたりする。
無意識的、とは言っても、それは時間が経てば意識的になり、
人間関係が面倒になったりしてくるのかもしれない、と思う。
ヤス子はふとため息をついて、席を立った。
綺麗な方は、まだ普通の方に話し続けていた。
おわり・・・
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